外国人労働者が3割を超えたら
製造業の課題に効く3つの経営関与

製造現場における外国人労働者の存在感が年々高まっています。
それに伴って発生する様々な課題を現場任せにしていて、本当にいいのでしょうか?
一見するとうまく回っているようでも、全体に占める外国人労働者の比率が上がるほど、教育や安全、品質における課題への対処は現場だけでは吸収しにくくなります。
製造部長や工場長にとっては、この問題にどう向き合うか?が一つの大きな分かれ目になります。
外国人比率が上がると、何が変わるのか
製造業に従事する外国人労働者はこの10年で約2倍となり、2024年時点で約59万人(※)に達しました。産業全体で外国人労働者は増加していますが、製造業はその最大の受け皿となっています。
外国人労働者の人数が増えることが意味することは、現場の人員に占める外国人労働者の比率が変化している、ということです。
たとえば外国人労働者が現場人員の全体の1割ほどの現場であれば、外国人労働者による多少の伝達ミスや確認・報告漏れは、班長やリーダーの工夫で吸収して事故などに繋がらないように対処することができます。
一方で、外国人労働者が占める割合が全体の3〜4割にまで上がると、伝達ミスや確認・報告漏れがそこかしこで起きることになり、トラブルが複数工程に広がりやすくなります。
こうした状況が続くことで、品質のばらつきが出る、ヒヤリハットが増加する、最悪の場合は労働災害の発生に発展するなどの、望ましくない状況に繋がってしまうのです。
現場における外国人労働者の比率が上がるほど、課題は「現場の頑張り」で対処できる範疇ではなくなります。
製造業における外国人労働者との円滑なコミュニケーションのための課題対応は、製造部長や工場長といった経営層が、経営課題として関与すべき段階に入っていると考えるのが自然です。
(※)出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」(令和6年10月末時点)
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外国人労働者の受け入れ制度は変わってきている
とはいえ、外国人労働者に対するサポートをどこまで手厚くするべきなのかを考える際に、外国人労働者が増加するトレンドが一時的なものなのか、今後も続いていくものなのかによって対応が分かれる、と考える方もいるかもしれません。
ここで改めて歴史的な変遷を振り返ると、日本における外国人労働者の受け入れ制度は、少しずつ変わってきています。(※)
①技能実習(1993年〜2019年):短期的な労働力確保の色合いが強い制度
②特定技能(2019年〜2024年):必要な分野で働ける人材を受け入れる制度
③育成就労(2024年〜):人材を育て、定着につなげる考え方を含む制度
この変遷から読み取れることは、外国人労働者の受け入れは、単に足りない労働力を補うためだった制度から、「育てて、定着してもらう」制度に変わってきている、ということです。
短期的な在籍ではなく、定着し、長期的に活躍をしてもらうという思想に、制度設計自体が変わってきているのです。
内閣府は「外国人労働者の重要性は今後も高まりこそすれ、低下することはない」と明言しています。もはや「他国籍化」は一時的な流行ではなく、外国人労働者の定着を前提にした現場づくりは製造現場に必須となっているのです。
(※)出典:内閣府「令和6年度年次経済財政報告」。
外国人労働者が指示を理解できる環境になっているか?自社の現在地を確認する
1章で見てきたように、比率が上がるほど伝達ミスや報告漏れのリスクが広がります。
では自社の現場は、外国人労働者が指示を正しく理解して動ける環境になっているでしょうか?
自社がどれだけできているかを把握するためには、現場に占める外国人労働者の比率と、自社の仕組みの成熟度の2つの観点から確認する必要があります。
仕組みの成熟度とは、例えば「朝礼や作業指示の内容が、担当者によらず一定の品質で伝わる仕組みがある」や「外国人労働者がわからないときに確認できる手段が、通訳者以外に用意されている」に、自社が当てはまるかどうかです。
現場に占める外国人労働者の比率が今は低いからといって、仕組みを弱いままにしておくと、今後外国人労働者数が増えたときに急ピッチで仕組みを作る必要性が生じ、負担が一気に出やすくなります。
逆に、外国人労働者比率が高くても仕組みが一定程度成熟していれば、現場はきちんと回る状態にあり、毎日の気づきからさらなる改善を加えていくPDCAサイクルが回せると言えます。
まずは自社の現在地を見極めて、できることから手を打っていくことが大切です。
まとめ
現場に占める外国人労働者の比率が上がるほど、現場の工夫で乗り切れることは減っていきます。だからこそ、製造部長や工場長が経営課題として関与していくことが重要になります。
まずは、伝達不全を起こさない現場づくり、指示が伝わる環境づくりを仕組みとして作ることが、経営関与の出発点です。
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