一方で、同じ業種・規模の現場なのに定着率が高いところもあります。
この差はいったい、どこから生まれているのでしょうか。
外国人材の質や採用力の違いではなく、現場に存在するある「差」が、定着率を分けているケースが少なくありません。
本記事では、その差の正体を掘り下げていきます。
外国人材の定着に悩む現場には、共通した光景があります。
朝礼での説明が、一方通行になっている。「わかりましたか?」と聞けば「はい」と返ってくる。しかし数日後、説明した内容が守られていない。確認すると「聞いていたが、内容がわからなかった」というケースが見つかる。
あるいは、個別の作業指示を出したあと、外国人材が「わからない」と言い出せないまま、とりあえず手を動かしてしまう。ミスが起きると注意を受ける。萎縮してさらに聞けなくなる。そうした状況が積み重なり、ある日突然離職する。
こうした現場に共通しているのは、「わかった?」「はい」で終わる確認の一方通行と、外国人材が「わからない」と言えない空気です。伝えているつもりでも、届いていない。その状態が静かに続いているのです。
あなたの工場はどうでしょうか。以下に当てはまる項目はありますか?
・朝礼や安全周知の内容を、外国人材が本当に理解しているか確認できていない
・「わかった?」と聞いて「はい」と返ってきたら、確認は終わりにしている
・外国人材がわからないことを、自分から聞きに来ることはほとんどない
・ミスが起きたとき、本人が気づいていないまま放置されていることがある
・外国人材の定着支援は、現場の班長や担当者の努力に任せている
1つでも当てはまるなら、「定着しない現場」の構造が、すでにあなたの現場にも起きているかもしれません。
では、定着している現場はどこが違うのでしょうか。
大きな違いは、「個人の努力に頼らず、環境を仕組みで整えている」という点です。班長が丁寧だから、ベテランが面倒を見てくれているから、という属人的な理由で定着しているわけではない。現場として、情報が届く状態・確認できる状態・聞ける空気をつくることに、意識的に取り組んでいます。
そして、そうした環境整備の判断を、現場任せにしていない。製造部長や工場長といったマネジメント層が、仕組みとして関与しているという点も、定着している現場の共通点です。
この問題に向き合い、環境を変えた企業があります。大手建設業A社です。
注記:本事例は実在する企業への取材をもとに構成しています
A社のある工事現場では、約1,000名が稼働し、そのうち外国籍作業員が常時50〜60名在籍していました。外国籍作業員の国籍は5〜6カ国にわたります。
毎朝の朝礼では、その日の立ち入り禁止エリアや安全上の注意事項など、現場で安全に働くための重要情報が共有されています。
しかし担当者はずっと気になっていました。
「業界特有の専門用語や略語もある中で、逆の立場に立って考えてみたら、絶対内容が理解できないだろうなと。聞いているけど多分わかっていないだろうな、とずっと思っていました」
実際、外国籍作業員にヒヤリハットが起こり、確認すると「朝礼を聞いていたが内容がわかっていなかった」というケースが複数発生していました。
これまでも多言語の看板設置など個別の対応は試みていたものの、朝礼の内容をリアルタイムで伝える手段はありませんでした。
「分かっていないだろうなと思いながらも、どうにかする方法がなかった」そんな状況が続いていたのです。
A社が向き合ったこの課題は、決してA社だけのものではないはずです。
「伝えているつもり」と「届いている」の間にあるギャップは、外国人材が増える現場であれば、気付かないうちにどこでも広がっています。
A社がその後どのように現場を変えていったか、具体的な取り組みと結果はホワイトペーパーで詳しく紹介しています。