「わかりました」がすれ違いになる理由

作成者: Melbridgeマーケティングチーム|Jul 2, 2026 10:40:17 AM

近年、日本で働く外国人労働者が増加しており、2025年10月末時点では257万1,037人と、13年連続で過去最多を更新しています。

外国人比率の変化に伴う「伝わらない」「報告がない」といったコミュニケーションの問題は様々な業界で顕在化していますが、特に製造・物流などの現場では、ちょっとした認識のズレが品質や安全に直結することもあります。

丁寧に説明して「わかった?」と尋ねるなど、双方向のコミュニケーションを意識しているにもかかわらず、相手に伝わっていないことがあるのはなぜなのか?整理していきます。

こんな経験はありませんか?
・作業手順を説明したのに、違うやり方で進められてしまった
・ミスが起きていたのに、報告がなく後から発覚した
・『わかりました』と言っていたのに、実際は理解できていなかった

問題が起きる背景とは

外国人労働者が多く働く現場では、こうしたコミュニケーションの行き違いが日常的に起こりがちです。
特に問題なのは、「本人には伝達済みなので、本来であれば防げたはずだったミスが起きてしまう」点にあります。

その結果、現場の管理者は「わからなかったならなぜ言わないのか」「なぜ確認しないのか」に戸惑い、不信感を抱くこともありますし、当事者である外国人労働者も「自分が本当に理解できているのかがわからない」「何をどう伝えればいいのかわからない」と感じ、さらに発言しづらくなる悪循環に陥ってしまいます。

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なぜ『わかりました』がすれ違いになるのか

最初に理解して欲しいのが、現場の多国籍化によってコミュニケーションの構造そのものが変化したのだという事実です。

日本人同士であれば暗黙知として通じていた前提条件や、「行間を読む」のような文脈理解を、外国人労働者にそのまま期待することは無理なことです。
さらに、文化的背景の違いも影響します。「上司に対して質問するのは失礼」とされる文化がある国の出身者や、「間違いを指摘される=強い否定をされた」と受け取る価値観の国の出身者の場合、「わからない」という発言をすること自体がとても勇気のいる行動になってしまうのです。

また、「報告しない」ことに叱責への恐怖や「上司が忙しそうなので声をかけづらい」といった心理的ハードルが関係していることもあります。特に外国人労働者は、言語の壁に加えて「誤解されたくない」という不安を強く持っている場合もあるため、結果として沈黙を選びやすくなります。

こうした要因が重なることで、現場のコミュニケーションは上司から部下への一方向のみになり、「実は理解できていなかった」という問題が見えにくくなるのです。

現場で意識したい3つのポイント

このように、「わからない」と言い出せないことには、実は複雑な要因が絡み合っていることが多くあります。ではこうした構造に対して、現場の管理職として何を意識すればいいのか。
3つのポイントで整理します。

①「報告しない」のは構造の問題と捉える

まず重要なのは、「報告しない=やる気がない」と早々に決めつけないことです。
実際にはご紹介したように、「怒られるかもしれない」「うまく説明する自信がない」「上司が忙しそう」といった複数の要因が絡み合っています。特に外国人労働者の場合、「自分の日本語力に自信がない」ことが大きな障壁になります。

このため、ミスをした当人に個人的な改善策を求める前に、「そもそも現場は不明点や違和感を報告しやすいコミュニケーション構造になっているか」を見直す必要があります。
例えば、ミス報告を歓迎する雰囲気づくりや、簡単な言葉・フォーマットで伝えられる仕組みの整備です。「気軽に質問しても大丈夫」という心理的安全性は重要ですが、それを個人の努力任せにせず、仕組みとして担保することがポイントです。

②「わかった?」では伝わらないと理解する

現場でよく使われる「わかった?」という確認は、実はほとんど機能していません。
多くの場合、相手は「わかりました」と答えますが、それは理解したというより「そう答えるべきだ」と判断しているだけです。


一例を挙げると、三菱電機の群馬工場では、作業手順を説明した後に「わかりました」と返事があったものの、実際に作業を再現してもらうと認識がずれていたことがありました。
伝える側は双方向のコミュニケーションをとっていたつもりが、実際には上司から部下への一方向の伝達となってしまっていたのです。

「わかった?」と聞けば良いのではなく、理解度を確認するための対話設計や仕組みの担保が重要です。

③「言えない」を前提に設計する

外国人労働者は「わからない」と言いづらい前提があります。この前提に立つと、コミュニケーションの設計は大きく変わります。
「質問はありますか?」ではなく、「どこが難しそうですか?」と具体的に聞く、「定期的に確認と相談の時間を設ける」といった工夫です。


重要なのは、「言える人を育てる」のではなく、「言いやすい構造をつくる」ことです。この視点を持つことで、コミュニケーションの質は大きく改善されるはずです。

まとめ

ここまで見てきたように、外国人労働者とのコミュニケーションにまつわる課題は、言語や個人の問題ではなく、現場のコミュニケーション構造に起因していると言えます。


「報告しない」の背景には、文化や心理的ハードルがあること。
「わかった?」の一方向な伝達ではなく、対話できる環境が必要であること。
そして、「言えない前提」で仕組みを設計すること。これらが重要です。

それを踏まえたうえで、では実際に「言える職場」をどうつくるのか?


三菱電機群馬工場の事例を含む詳細は、ホワイトペーパー「三菱電機が実践する現場の心理的安全性の高め方」で詳しく解説しています。より実践的な内容はぜひそちらをご覧ください。

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※本記事の表紙イラストは生成AIにより作成したものを使用しています。 



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